バルビツール酸系催眠薬で長時間型のフェノバルビタールの出題内容



この記事では、長時間型のバルビツール酸系催眠薬である
フェノバルビタールについて、

  • 出題された国家試験の回数(と時期)
  • 問題番号
  • 出題分野や科目
  • 予想される正答率

等の過去の出題履歴を、問題の解説と一緒に説明していき
ます。

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 薬剤師国家試験の過去問題の出題履歴をご覧頂く上での注意点

当サイトで主にコンテンツ(記事)の内容として扱ってい
る「薬理学」について、

  • 第90~96回の国家試験では、「医療薬学」という科目に含まれる
    1つの出題分野であり、出題履歴中で「出題分野」と表記している
  • 第97回以降の国家試験では、「薬理学」という独立した科目であ
    り、出題履歴中で「出題科目」と表記している

という事情(区別)があります。ご注意下さい。因みに、
当サイトが

コンテンツ中で扱っている科目や分野等については、↓ の
記事で詳しく説明しています。

ご参照されて下さい。

   

 問154 96回(2011年) フェノバルビタール 出題分野: 薬剤 予想正答率: 80%以上

この設問は「問157 91回(2006年)」と内容が同じで、
文章を少し変えている構成ですので、下記の記事をご覧
下さい。

   

 問224 96回(2011年) フェノバルビタール 出題分野: 実務 予想正答率: 80%以上

フェノバルビタールは通常、1% の希釈散(倍散)として
用いられる薬剤である。○かXか?

   

 問156 98回(2013年) フェノバルビタール 出題科目: 薬理学 予想正答率: 50%以上

プリミドンはGABAトランスアミナーゼというGABAアミノ
基転移酵素を阻害し、フェノバルビタールと併用すること
で相加効果を発揮する。○かXか?

   

 問156 99回(2014年) フェノバルビタール 出題科目: 薬理学 予想正答率: 70%以上

フェノバルビタールは、GABAA受容体とClチャネルの複合
体のピクロトキシン結合部位に作用して、神経細胞内への

Clの流入を活性化(促進)して、神経細胞の細胞膜につい
て過分極を起こす。○かXか?

   

 問155 100回(2015年) フェノバルビタール 出題科目: 薬理学 予想正答率: 60%以上

フェノバルビタールはカイニン酸受容体とNMDA型グルタミ
ン酸受容体に作用する性質を実はもっている。○かXか?

   

 問184 94回(2009年) フェノバルビタール 出題分野: 実務 予想正答率: 40%以上

72歳女性が半年前の交通事故で痙れん発作を起こすように
なり、脳外科から抗てんかん薬としてフェノバルビタール

を処方され、その結果、発作はなくなった。また、事故の
後に血圧が162/84mmHg前後となって本態性高血圧症と

診断され、内科から降圧薬としてニフェジピンを処方され、
今は141/71mmHgくらいに下がって血圧が安定している。

一方で最近、入れ歯の具合いがどうも思わしくなくて歯科
医院で診てもらったところ、歯ぐきの腫れが認められ、

そこで何かの薬の副作用では?とのことでかかりつけ薬局
で相談するように勧められた。

ここで、副作用の原因薬物と考えられるのはフェノバルビ
タールである。○かXか?

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 過去問題での出題内容についての正解や解説

  

 問224 96回(2011年)

フェノバルビタールは一般に、10%の希釈散として用いられる
医薬品ですので、答えはXとなります。

ここで、ちょっと用語を補足で説明しておきます。

まず希釈散とは?倍散とは?ですが、調剤室では普通、100mg
程度の重量を量れる天秤を調剤用に使っています。

天秤や計器等が量れる最低の重量を感量(かんりょう)と言い、
100mg 以上の重量を量れる場合には「感量 100mg」とします。

そして、粉末状の薬(散剤)を使って調剤業務をしている過程
であまりに薬品の量が微量で少ない場合には、

そのままだと秤で重さを量れませんので、一定の濃度にする目
的で乳糖やデンプン等を賦形剤(ふけいざい)として添加しま

す。賦形剤を加えることで、調剤用の天秤で薬剤を量り易く、
取り扱いを容易にするのです。

主な医薬品に、賦形剤を加えて量を多くしたモノを希釈散、又
は倍散と言います。

ご参考までに、希釈散として用いられる医薬品の例を、倍散の
濃度別に示しておきます。

0.01%の希釈散
0.1%の希釈散
1%の希釈散
10%の希釈散
ジギトキシン ・レセルピン

・ジゴキシン

・べタメタゾン

・ハロペリドール

・ニトラゼパム

・ジアゼパム

・フェニトイン

・フェノバルビタール

・モルヒネ塩酸塩水和物

・アヘン末

・dl-メチルエフェドリン塩酸塩

・コデインリン酸塩水和物

・ロートエキス

   

 問156 98回(2013年)

この問題については「問125 91回(2006年)」で似た内容が
類題として出題されていますので、下記の記事を見直しておい
て下さい。

上記の記事でも説明していますが、プリミドンは体内でフェノ
バルビタールに変化します。

そして、GABAA受容体とClチャネルの複合体の
バルビツレート結合部に結合することで抗痙れん作用(抗てん

かん作用)を生じます。つまり、プリミドンはGABAA受容体の
機能を増強し、GABAトランスアミナーゼを阻害する訳ではない

のです。また、プリミドンとフェノバルビタールの作用点は同
じですので、併用した場合には相乗効果ではなくて相加効果を

示します。以上によって、答えはXとなります。

   

 問156 99回(2014年)

上記の「フェノバルビタールの国家試験対策での重要ポイント」
の記事でも説明していますが、

フェノバルビタールは、GABAA受容体とClチャネルで構成され
る複合体のピクロトキシン(バルビツレート)結合部位に

結合して作用することでClチャネルを開口させて、神経細胞内
へのClの透過性(流入の程度)を促進します。

それによって細胞膜で過分極が生じ、答えは○となります。

フェノバルビタールは、GABA神経系を活性化することで抗てん
かん作用を発現します。

   

 問155 100回(2015年)

フェノバルビタールはGABAA受容体に作用して、
中枢神経系の働きを抑制することで鎮静・催眠作用を示します。

作用が現れるのは遅くて、そして持続性があり、催眠薬として
は長時間型に分類されます。

そして、実はカイニン酸受容体やNMDA型グルタミン酸受容体に
も作用するとか、そういうことはなくて、答えはXとなります。

(因みに、カイニン酸受容体とNMDA型グルタミン酸受容体等は
当サイトが適当に造った 釣りキーワード でしたw)

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 問184 94回(2009年)

これは実務の分野の問題で、具体的な症例パターンから副作用
の原因である医薬品について推察(推理)する内容で、

慣れていないとけっこう難しく感じるでしょうね。実際の本試
験では5個の薬剤が登場していますが、

この類題では2個だけにして、内容を簡単にしています。副作
用として「歯ぐきの腫れ」を生じる薬品を選べば良く、

抗てんかん薬としてフェノバルビタールを服用した場合に、副
作用として「歯ぐきの腫れ」は報告されていず、

答えはXです。因みに、もし痙れん発作の悪化や血圧が下がら
なくて不安定である等の状態にある場合には、

処方されている薬同士の相互作用を疑わなければならず、2剤
を併用して生じる相互作用については、

検査値(収縮期血圧/拡張期血圧)から判断できます。この症
例の設定では、痙れん発作が治まって、血圧の検査値が下がっ

て安定しているので、特に2薬物の併用によって相互作用が生
じている可能性は無いと判断できるのです。

更に、ニフェジピンはCa2+チャネル遮断薬で、降圧薬として
用いた場合に副作用が「歯ぐきの腫れ」となります。