長時間型のバルビツール酸系催眠薬としては2個、
フェノバルビタールとバルビタールがあります。
この記事では、これらの催眠薬について、合計4題の出題履
歴を類題の形で説明していきます。
バルビツール酸系催眠薬フェノバルビタールとバルビタールの出題履歴
バルビタールについては、第90~100回(2005~2015年)
の本試験で1度も出題されていません。
なので、今後も出題可能性が低く、あまり受験勉強の過程で
気にしないで良い医薬品です。
で、その代わりにフェノバルビタールについてはなんと
11回の本試験で19回も出題されていて、
かなり頻出で要チェックな薬剤です。なので、順に類題の形
で出題履歴をご紹介していきます。
問155 98回(2013年) フェノバルビタール 出題科目: 薬理学 予想正答率: 50%以上
フェノバルビタールの出題履歴(98回(2013年)問155)や
鎮静・催眠作用、抗けいれん作用等については、下記 ↓ の
記事で詳しく説明してあります。
問148 90回(2005年) フェノバルビタール 出題分野: 薬理学 予想正答率: 40%以下
次の
「薬物 – 適応症(臨床適用)- 薬理試験法」
の組み合せは○かXか?
フェノバルビタール – 脱力発作 – 最大電撃痙れん法
問161 90回(2005年) フェノバルビタール 出題分野: 薬剤 予想正答率: 60%以上
ワルファリンはフェノバルビタールと併用することで
消失半減期が短くなる。○かXか?
問125 91回(2006年) フェノバルビタール 出題分野: 薬理学 予想正答率: 50%以上
プリミドンはGABAA受容体の機能を抑制し、
フェノバルビタールと併用することで相加効果がある。
○かXか?
過去問の類題についての正解と解説
問148 90回(2005年)
脱力発作とは、筋肉の緊張が低下して消失することで崩れる
ように倒れてしまうことで、
フェノバルビタールは強直間代(きょうちょくかんたい)発
作に使用されます。
この強直間代発作は、てんかんでの大発作のことで、意識を
突然に失って呼吸が止まったりして
全身が硬直する強直発作と、その後に手足がガクガクと痙れ
んする間代発作が続いて起こるケースが多いです。
最大電撃痙れん法とは、強直間代発作の治療薬を検定する方
法のことです。
具体的には動物モデルに対して用いられ、マウス等の頭部に
強い電流を短い時間、瞬間的に流して生じる痙れんに
対しての効果から医薬品をテストできます。フェノバルビタ
ールは最大電撃痙れんを抑えられる作用があるのです。
以上により、
フェノバルビタール – 強直間代発作 – 最大電撃痙れん法
となり、答えはXとなります。
問161 90回(2005年)
ワルファリンの代謝をフェノバルビタールが誘導する為に、
ワルファリンのクリアランスは増えます。
つまり、ワルファリンとフェノバルビタールを一緒に用いる
ことで消失半減期は短縮され、答えは○となります。
ここでクリアランスについて、ちょっと分かりにくい概念で
あるので補足の説明をしておきます。
端的に言うとクリアランスとは、人体の臓器が医薬品を含ん
でいる血液を単位時間に完全に浄化できる血液量のことです。
単位は ml/min 等 [体積/時間] の次元で色々とあります。
ここで「完全に浄化」とは、血液中に薬物が全く入っていな
い状態を意味しています。例えば、
薬剤Aの肝クリアランス(CLr)=60ml/min となっていたら、
肝臓は薬品Aを含む血液を1分間に60mlだけ完全に浄化できる
という意味になります。
問125 91回(2006年)
プリミドンを服用すると身体の中で活性体のフェノバルビタ
ールになり、両者の薬理作用機序は、要は同じなのです。
GABAA受容体とCl–チャネルの複合体の
バルビツレート結合部位(バルビツール結合部)に作用して、
Ca2+チャネルを抑制してCl–の透過性を
向上させることで抗てんかん作用が生じます。
つまりプリミドンはGABAA受容体の機能を抑制するの
ではなくて、増強します。
そして、プリミドンとフェノバルビタールの薬理作用機序は
同じなので、
一緒に用いると相乗効果ではなくて相加効果があり、ここは
合っています。よって、答えはXとなります。