2015年9月30日(水)に厚生労働省医薬・生活衛生局(旧
医薬食品局)から全国へ通達があり、
第101回の薬剤師国家試験(2016年2月27日(土)・28日
(日)施行)の合格基準点が変更になりました。
いきなりの通知で、受験生の間では軽く衝撃的なニュース
になっていましたね。
そこで、この記事では
- 第100回までと第101回以降の合格基準点の具体的な3個の相違点
- 合格基準点が突然に変更されてしまった理由
- 第101回以降の薬剤師国家試験に向けて受験生としての注意点
等の内容をお伝えします。
目次
薬剤師国家試験の合格基準点の具体的な変更点は?
まず、今回の3個の変更点を分かり易いように表で示して
おきました。
合格基準点 |
合格基準点 |
合格基準点 |
---|---|---|
必須問題の各科目 | 50%以上の得点 | 30%以上の得点 |
必須問題の合計点 | 70%以上の得点 | 70%以上の得点 |
一般問題(薬学理論・ 実践問題)の各科目 |
35%以上の得点 | 合格基準点なし |
全体の合計点 | 65%以上の得点 (絶対評価の基準) |
65%以上の得点で基本的には 合格とするが、平均点と標準 偏差による相対評価の基準で 補正される場合がアリ |
次に、個々の具体的な変更点について補足で説明を加えて
おきます。
必須問題の各科目についての合格基準点の変更
必須問題の各科目について、第100回までは「50%以上の
得点」という
わりと高めの合格基準点が設定されていましたが、これが
「30%以上の得点」と下げられました。
これはけっこう大きな変更点だと映りますが、厚生労働省
によると、
「必須問題の各科目」で50%以上の数値基準(足切りの基
準点)は薬学生の国家試験における
学力の水準を考慮すると、現状では高すぎるとの評価がま
とめられたようです。
また、必須問題の全体の合計点については「70%以上の得
点」という
足切り基準が設定されていて、第100回までと変更は特に
ありません。
一般問題の各科目についての合格基準点の変更
第97~100回の薬剤師国家試験では一般問題(薬学理論・実
践問題)について各科目で
「35%以上の得点」という合格基準点が設定されていました
が、第101回以降ではこれが
完全に撤廃されることになります。これは大きな違いです。
ただ、
「それなら、一般問題については得意科目で苦手科目の点数
をカバーするようなやり方(作戦)で受験勉強をすれば良い
となるか?」
と言うと、一概にそう簡単でもありません。この点について
は受験生の注意点のところで後述します。
試験全体の合計点を絶対評価から相対評価へ変更
この点は、内容がまだあまり周知(理解)されていない面が
ありますので、細かくご紹介します。
まず、これまでも厚生労働省は
- 不適切問題(問題の内容が適切ではなくて解なしとなってしまう場合)
- 補正対象問題(設問の内容的に問題はないが、正答率と識別指数が低
く、適正な難易度ではない場合)
等について全員を正解とする補正の措置をしてきています。
最近だと、例えば
- 第99回で不適切問題が1題あった
- 第100回で不適切問題が3題、補正対象問題が11題
(必須問題で5題、一般問題で6題)もあった
などの事例が思い出されますね。
そして、今回の変更で更に全体の合計点について
突然の変更で各大学の薬学部の教育現場や受験生等の混乱を
回避する為に
当面は65%以上の得点で合格とするが、場合によっては平均
点と標準偏差を用いた
相対基準により設定した得点以上を合格とする補正を行なう
場合があり得る
としています。
つまり今後、第101回からは
- 不適切問題と補正対象問題による従来型の補正
- 平均点と標準偏差での相対評価で決めた得点以上を合格とする
新型の補正
の2段階での補正を全体の合計点について実施するのです。
これはかなり大幅な制度の改変となります。因みに、両方
の補正について(不適切問題は除きます)
どのような場合にどう実施するのか?その計算式等は勿論、
非公開ですので、
受験生からするとブラックボックス的な救済措置が今後は
2段階で実施されることになります。
特に、後者の「新型の補正」については、要は
合格基準点が65%未満の得点に、場合に
よっては下がる可能性がある
ことを示唆している訳です。
受験生の皆さんにとっては不利になる制度変更ではなくて
結論としては良かったですが、
この点を明確に分かっておいて下さい。厚生労働省の文書
は基本的に堅い文言(表現)で分かりづらいので…。
識別指数とは何か?そして、受験生としてはどのように捉
えておくべきか?等については ↓ の記事をご覧下さい。
※ 第99回と第100回の本試験での補正対象問題・不適切
問題がどのような設問だったのか?を具体的に知りた
いとのお問い合せが当サイトへありましたので、上の
記事で PDF ファイルの形で公開しています。
合格基準点が突然に変更されてしまった理由とは?
厚生労働省によると、薬学部の課程が6年制に移行してから
の国家試験の合格率は以下のようになっています。
第100回 | 14316 ・ 9044 | 63.17 |
第99回 | 12019 ・ 7312 | 60.84 |
第98回 | 11288 ・ 8929 | 79.10 |
第97回 | 9785 ・ 8641 | 88.31 |
出題者側からすると、このように国家試験の全体の合格率
が30%近くも実施回によって
大きく変動することは望ましくないとされています。それ
は具体的に何故でしょうか‥?
受験生の皆さんには、ちょっと考えてみてほしいです。
・・・と、必須問題と一般問題、全体の合計点に関係する
合格基準点の設定がどのように変化したのか?
を書いたところまでで長くなってしまいました。具体的な
理由について、続きは ↓ の記事で書いていきます。
この、相対評価だと結局はみんなが合格しやすくなるのかな?
合格者も増える?それとも逆に、難しく、厳しくなるの?
厚生労働省にとっては、医療現場でのニーズに応えられるように国試の全体の合格率は上げていきたいのだろうと考えられます
例えば、医師や看護師などの国家試験のように、もっと高水準へと
合格者は、明確に発表されてはいませんが、今のところは9000人前後で毎回推移していて、おそらくは大きく今後、変動はなさそうと考えられます
相対評価の導入も、結局は全体の合格率を上げる為の一つの施策なので、ボーダーラインの前後にいる層が救済される可能性は以前よりも高まりそうです
ですが、結局、受験生にとっては同じ条件で本試験を受けることになるので、安易に皆が合格し易くなったとまでは言えません
絶対評価だけではなくて、相対評価を併せることで厳しくジャッジされてしまう場面も想定されますので
101回って何人が受けたんですか?その人数から、去年と同じ63%くらいが受かるんですか?
101回はまだ受験者数、未発表です
また、99回の60%、100回の63%では少ないので、
足切りの基準を緩和して、絶対評価だけではなくて
相対評価が導入されています
おそらくは全体の合格率をもっと高くして安定させ
たい意図があると考えられます
国試が簡単になったー!! って皆で大騒ぎしてたけど、別にそんなでもないのね実ゎw
全体的に楽にはなりそうな感じだけど、でも相対評価の部分がひっかかるな..
ふたを開けてみないと分からない感じ?
そうですね
厚労省としても、絶対評価と相対評価を一緒に使ってみて
全体の合格者数と合格率を安定化させていく為に様子見(経過観察)を
今後、数年間でしていくだろうと考えられます
そのような感じで捉えておいてほしいです
これは要は、変更されて受かりやすくなったってことだよねw
よっぽど、合格率を上げていきたいんだろうね国は
合格者数は増減するのかどうか?細かいところはふたを開けてみないと分からないけどね
試験を作る人は他人事でイイかもしれないが、受ける人は難しかったり、解き易かったり、一生がかかってるのに、いいかげんにしてほしい。
コメントありがとうございます
※ 読み易いように一部、文面を編集部の担当者の方で修正してあります
合格基準点はさておき、101回から導入された4連問とかがかなり怖いです…
今後はより受験勉強のやり方を演習中心にしていかないとダメですよね
ガンバります!