薬剤師国家試験で受験生の合否を最終的に分ける識別指数とは一体?



2015年9月30日(水)付で厚生労働省から薬剤師国家試験の
合格基準点について

3箇所、変更することが発表されました。特に受験生である
薬学生の皆さんの間では騒然(?)となっていましたね。

この記事では、薬剤師国家試験における補正対象問題で以前
から補正の措置をする際に

正答率と一緒に使われてきた指標である識別指数について、
その定義と、そして国家試験の受験生としては

どのように捉えておくべきなのか?を注意点と共に説明して
おきます。

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 薬剤師国家試験での識別指数 Discrimination Index の定義

まず、識別指数について厚生労働省の資料では以下のように
記載してあります。

薬剤師国家試験における識別指数とは、

  • 成績が上位25%以内の受験生(以下、上位者とします)
  • 成績が下位25%以内の受験生(以下、下位者とします)

に注目して、各設問に対して

  • 上位者と下位者が全員正解になっている問題 ⇒ 識別指数 0
  • 上位者が全員正解で下位者が全員誤りとなっている問題 ⇒ 識別指数 +1
  • 上位者が全員誤りで下位者が全員正解となっている問題 ⇒ 識別指数 -1

として数値を割り振ります。そして、出題者側としては

  • 識別指数 0 の問題 ⇒ あまり良問ではなく、普通の設問だった
  • 識別指数 +1 の問題 ⇒ 良い設問(良問)だった
  • 識別指数 -1 の問題 ⇒ 良くない設問(悪問)だった

と評価することにしています。簡単に言うと、

受験勉強をちゃんとした人だけが解けている問題は、
 イイ問題だよね!

としている感じです。

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そして、定義上は上記のように決めた数値を識別指数として

各問題について、成績の良い受験者と成績の良くない受験者
とを効率的に識別できる指標

と設定しているのです。

これが、識別指数の定義になります。

   

 識別指数についての受験生としての望ましい捉え方

正直、定義だけをさらっと書かれても多くの人は

「はへ?」

となってしまい、

あまりよく分からないと思います。そこで補足して説明して
おきます。

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まず、そもそもなんで識別指数なるモノが必要なのか?です
が、厚生労働省の国家試験の出題関係者としては

望ましい資質(得点力)をもった人材を国家試験で選抜して、
薬剤師として社会へ輩出していきたい目的があります。

そこで、国試での各問題について、受験生の皆さんのでき具
合いを毎回、分析することで

問題の質(内容)について検討・改善をしながら全体の合格
率や合格者数等を平準化して安定させていきたい訳です。

もっと平たく言うと、臨床の現場等で求められる能力をきち
んと備えている(と思われる)新卒の薬剤師さん達を

世の中(市場)へ常に安定的に供給していきたい前提(建前)
があるのです。

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そうすると、毎年の国家試験で出題されている個々の問題に
対して統計学的な知見を踏まえながら、その都度

これは良い設問だったのか?そうではないのか?

等の判断をして、そのデータを基にして合格率や合格者数を
決めて、

更にその後の国家試験に向けて受験生の成績データを資料と
してまとめて集積していく必要があることになります。

その過程で、特に合格率と合格者数を調整する時に補正の措
置で判断の基準として用いる指標(数値)

を便宜的に識別指数として、正答率という指標と一緒に使っ
ている現状になっています。

   

 識別指数についての注意点

識別指数の定義については率直に言うと

「ふーん、そんなモノがあるのねー」

くらいに知っておけば良いのですが、受験生としての注意点
を1点だけお伝えしておきます。

例えば、第100回の国家試験では以下の問題が

設問の内容は適切で、解なし等ではないが、受験者の正答
率や識別指数等を考慮するとこの問題は難易度的に妥当では
なくて、採点上は受験生の全員を正解にする

として補正対象問題になっています。

  1. 問2 必須問題 物理
  2. 問4 必須問題 物理
  3. 問9 必須問題 物理
  4. 問20 必須問題 衛生
  5. 問60 必須問題 病態・薬物治療
  6. 問108 薬学理論問題 化学
  7. 問177 薬学理論問題 薬剤
  8. 問181 薬学理論問題 病態・薬物治療
  9. 問193 薬学理論問題 病態・薬物治療
  10. 問196 薬学実践問題 物理・化学・生物
  11. 問272 薬学実践問題 薬剤

受験生としてはどんな問題だったのか?その内容を具体的に見た
い場合もあるでしょうから、↓ にファイルを置いておきます。

PDF ファイルになっていますので、下記のサイトからアプリを適
宜、DL してご覧下さい。

第100回では前代未聞というくらいになんと11問も補正対象問題
になってしまったのですが、

ここで受験生として知っておかないといけないのは、不適切問題
は解なしなので客観的に誰が見ても納得できる問題
だけど、

補正対象問題については正答率と識別指数という指標をどのよう
に組み合せて出題委員の先生方が使っていて、

補正対象問題にするかどうかを決めているのか?が、大学や予備
校、受験生等の関係者には一切、非公開になっている点
です。

例えば、

この問題は正答率はわりと高めなんだけど、でも識別指数が -1
になっちゃっててアレだから、補正対象問題にしよう!

等という、会議(相談)に基づく判断の過程(基準)は試験委員
の先生方だけが知っていること(秘密)なのです。

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 薬学生としての望ましい姿勢(スタンス)

という訳で、大学や予備校、受験生等の関係者としては、厚生労
働省が補正対象問題について決める補正の措置は

たとえ正答率と識別指数を使うと公表されていても、内情として
どのように判断されているのか?

等が一切見えないようになっている、ブラックボックス的な救済
措置
なのです。

従って、受験生として望ましい姿勢は、正答率や識別指数の存在
をさらっとで良いから知りつつ、

結局は、合格基準点についての救済措置(補正の措置)等が全然
関係ないってなれるくらいに、

新たな足切りの基準点を余裕で超えられるように万全の準備(受
験勉強)を残り時間でしておきましょう!
となります。

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因みに、第101回以降で導入される合格基準点についての相対評
価の細かい内容や、

受験生としての注意点等については、別に ↓ の記事でまとめて
おきました。

                       















6件のコメント

  • アバター サトコ

    みんなが解ける問題を落とさないってことが、要は大切なんだね

  • アバター 匿名浪人

    どんな問題だと補正対象になるのか?
    その決め方がずっと謎でした

  • アバター 崖っぷち子

    受験生として注意すべきなのは、識別指数よりもむしろ問題の正答率なんだね

    • そうですね

      識別指数に関係して受験生が意識すべきことや、行動を起こすべきことって実は特にないんですよね

      でも、問題の正答率については、50%以上の設問をきちんと常に正解できるように

      演習で練習しておくとか、やるべきことが明確にあって、必ず活用すべき指標なのです

  • アバター Akemi

    うちの学校は卒延生がすごく毎年多くて4~5割くらい、いたりします
    だから国試(102回)が怖くて、今から気持ちが暗くなっています..
    なんとか留年しないで卒業して免許を取らないと…

  • アバター もふもふ

    正答率と識別指数を使って補正対象問題を決めるのは分かったけど、
    全体の65%に対して101回から相対評価を導入ってのがびみょーだよね
    結局、ボーダー近辺の点の人は合格発表まで((((;゚Д゚))))ガクブル で丸1ヶ月を過ごすわけだよね…
    ま、自己責任だけどね全てのことはさ